嘘をついて、訂正した。

 「『とにかくなんでもオリーブオイルかけたらいい」って言ってたんですよー」と、僕は某ファミリーレストランで上司に向かって言った。新卒の就職活動で説明会を聞きに行った時に、採用担当の人が自慢げにそう言っていたのを思い出したのだ。実際にスープバーの脇に置かれたオリーブオイルを僕はスープに振りかけてみたけど、美味しくも不味くもなく、ただスープを飲むとオリーブオイルの癖のある匂いが香っただけだった。

 

 その流れで上司に「就活は何月に終わったの?」と何気なく聞かれ、僕は「4月ですね」ともっともらしく答え、同時に「やべ、大したことじゃないけど、嘘ついちゃった」と思った。実際は、ゴールデンウィーク前でひと段落する1巡目を無茶苦茶に、どんな考えでか今になっては思い出せない考えで数社応募し、面接でボコボコにされる(されてしかるべきであった)というのを経て、業界で的を絞って受けた2巡目の6月に内定が出て、就職活動を終えたのだった。

 

 その後も別の話を続けながら、僕は「しょうもないけど、嘘ついてしまった」ともやもやした。だから、ファミレスを出て車に戻ったときに、思い切って「大した話じゃないんで聞き流してもらえればいいんですけど」と前置きしてから、「新卒の時の就活が4月に終わったっていうの、ちょっと見栄張っちゃったんですよね」「本当は1巡目は無茶苦茶にやってどこも受からなくて、2巡目でやっと決まったんです」と打ち明け、上司に「そんな見栄張らなくてなくていいのに」と笑われた。

 

 嘘というのはやっぱり気持ちが悪い。それでも僕は、主に見栄を張って、しょうもない嘘をついてしまう。そんな時は正直に「嘘だったんです」と打ち明ければいい。

 

 正直というのはやっぱり気持ちがいい。