息子がストライダーに乗れるようになった

 半年前、妻のお父さん・お母さんに息子の誕生日プレゼントとしてストライダーを買ってもらった。最初はうまくまたがることもできずに、それでも自慢げに押して歩いていた銀色のストライダーだったが、最近はもう普通に地面を蹴って走ることができるくらい上手になった。

 

 最初、うまく乗りこなせない息子を見てもどかしかった僕は、息子が乗っているときに何度もサドルの位置を調整しようとした。ネットで調べたら、「サドルの位置を、地面につま先だけつくくらい高くすると良い」と書いてあったからだ。しかし、息子は僕に邪魔されるのを嫌がって、しまいにはまたがるのを諦め、手で押して歩いた。

 

 それからはサドルの位置を息子がストライダーにまたがって普通に足がべったりと地面について安定するくらいの高さにしただけで僕は特別に何かしてあげたわけではない。予定のない週末の午前中に、自宅の周辺を一緒に付いて回っただけだ。強いて言うなら、彼が飽きて乗らなくなったストライダーを片手に持って帰るのがちょっと面倒だったくらいだ。息子は、彼自身の「乗りたい」と言う好奇心に従って、体の成長もありながら、与えられた機会に自ら試行錯誤を繰り返した結果、ストライダーに乗れるようになったのだ。

 

 当たり前のことかもしれないけど、近くで見ている大人はあれこれ手を出したくなってしまうように、忘れがちなことでもあると思うのだが、こどもというのは、自分で成長していく力を持っているものなのだと思う。親は、あれこれ手を加えてこどもを「育てよう」とするよりも、こどもが自分で成長していくのを「邪魔しないように」近くにいてあげることが大事なのかもしれない。

 

 おしまい