「ハロウィンってなんだ」(昔の記録)

 今日はもうこれ以上まともに考えられそうにないので、昔の記録をそのままお送りします笑

 

ーーー

 父親が家で突然「ハロウィンってなんだ」と聞いてきたと、母親が笑いながら言っていた。世間的には数年前から季節のイベントとして定着しているハロウィンだが、僕の父親は最近になってやっと、10月か11月辺りに若者を中心に世間が賑わっていることに気がついたらしい。その間、彼はどこにいたのだろうか。むろん、この国の、ハロウィンが最も定着している東京にいたのである。流行のイベントに乗り遅れまいとコスプレに精を出している若者たちが心を浮つかせている横で、彼はいつもどおりの不機嫌そうな顔をして地下鉄に乗り、スマートフォンでゲームアプリをしながら会社から家へと向かっていたのだろう。

 

ーーー

 自分が持っている考えや主張をないことにして他人に近づこうとする。そうやって自分自身を削って誰かと仲良くなろうとしても結局自分を傷つけるだけであることは、学生のときに散々辛い思いをして知っているはずだった。それなのに、また同じことをやってしまったんだと3日経ってから気がついた。そうすることへの違和感を抱きながらやってしまったのは、たぶん会社で働いていたときの自分に戻ってみることで、もういちどあのときの人間関係を取り戻そうとしたからだ。でも無理だった。僕はもうあの頃のじぶんには戻れなかったし、戻りたいとも思っていなかった。何も知らないうぶなふりをして誰かに近づこうとして、それ以降積み上げてきた自分自身を傷つけ、自信を失っただけだった。

 もう若い人のふりをするのはやめよう。27歳は十分若いともいえるし、「もうおじさんだよ」と言って見せるのはわざとらしいくらいだ。しかし、27歳は27歳以上に若いわけでもない。そして、考えの違う人間とは分かり合うことができないことも、分かり合おうとする必要がないことも十分知っているはずだ。もう、簡単で少ない労力で済むやり方で誰かにわかってもらうのはいい加減諦めたらどうか。

 おじさんになってしまえばいい。どんなことが周りで起きていようと他人にどう思われようと気にせず、「ハロウィンってなんだ」と世間から数年遅れて尋ねるような無神経なおじさんに、もうなってしまえばいい。

 

2018/1/24