ケーキを買って帰った

 妻に良いことがあったので、ケーキを買って帰った。

 金曜日に買おうかと思っていたのだが、妻が昼に「なんか疲れた」とLINEでメッセージを送ってきたので、「少しは元気出してもらえるかな」と駅前を歩いているときに思いついて、木曜日の今日、いつもより高いケーキをお祝いを兼ねて買って帰ったのだ。

 

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 2011年の震災の時、僕は北京に留学していた。

 7月に帰国して地下鉄に乗った時、僕は「うわ、雰囲気、暗!」と思った。

 僕は「外国の人」になったつもりで、偉そうに自分の国のことを批判してみたかっただけかもしれない。

 けど、地下鉄の車内でも普通に大きな声で人が喋っていた当時の北京の地下鉄の方が、オリンピックの影響もあってか照明や広告の設備が都営地下鉄よりも比較的新しいことなどもあって、「明るく」感じられたのだ。

 それに、帰国した当初、どこかで男の子が母親に向かって「きゅうりのねー、花がねー、咲いてたんだよ!」と言っているのを聞いて、「こどもが日本語喋ってる!」と心底驚いたくらいだから、僕は一時的に本当に「外国の人」になっていたのかもしれない。

  後に僕がその話をしたら、母は悲しそうに「あの頃はしょうがなかったのよ。震災があったから」と言った。

 

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 今日はテレビはつけない。昼前まで北海道が大変なのは関西に被害をもたらした台風のせいだと思っていたし、「地震らしい」とわかってからも、「東京だけ災害がないなぁ」だなんて考えていた。

 でも、ツイッターやヤフーニュースを見ていて心が落ち込んできたのか、帰りの電車から人がたくさん降りるのを見て、「いま地震とかあったら、みんな家に帰れなくなるのか」と想像して怖くなった。

 

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 保育園のweb連絡帳を見ると、息子は今日は近所の公園に行ったらしい。昨日描いた「線路」がまだ地面に残っていて、それを見つけた息子は「あった!」と保育園の先生に報告したらしい。友達の真似をして、大きな石で地面に「アンパンマン」を描いていたらしい。

 

 遠くに起こった出来事を気にかけながらも、目の前に転がっている幸せを大切にしたい。