なんでもないことを一緒にやるのが楽しい

 僕は頭でっかちでせっかちな人間なので、「効率」を重視した結果自分に合わないやり方を選択してイライラしたり、一人で過剰に物事を進めすぎて先走り、周りと話が合わなくなることがよくある。

 例えば、賃貸物件を探すのに一人でweb検索から内覧まで済ませ、「この家よかったよ」と妻に言っては、彼女があまり乗り気でないと「なんでせっかく調べたのに乗り気になってくれないんだ」とイライラしてしまったりする。

 そんな時、妻にわけを聞くと「だって調べるところから一緒にやってないんだもん」と彼女は言う。曰く、「勝手に調べて持ってこられても、一緒にやったことじゃないから、モチベーションや思い入れにギャップが出来ちゃうんじゃない?」とのことだった。

 

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 買い物を全てネットスーパーで完結させようとしていた時も僕はスマホで食品を選ぶのがどうしても億劫に感じられてイライラしながらやっていたのだが、最近では駅前のスーパーで一週間分の食材をまとめ買いして作り置きするようにしている。

 

 その時に応じて妻や息子と一緒に行ったり、僕一人だけで買って帰ったりするのだが、今日、息子を連れて妻と一緒に買い物をしていて「楽しいな」とふと思った。

 

 第一、献立を一人で考えなくて済むことが楽で、一緒に考えていると「あれ食べたい」「こうしたらいいんじゃない」と言う提案が貰える。

 

 調理する側としては当然相手が「食べたい」と思っている料理を作る方がモチベーションが上がるし、食べる側としても、毎週のように同じ味付けの定番料理を出されるより、自分が「食べたい」と言ったものを作って貰える方が嬉しいに違いない。

 

 買い物なんて面白味のない日常的なタスクであり、効率化したり自動化したり、外部化してしまった方が良いようにも思われる。

 

 それでも、買い物のような、なんでもないことを一緒にやることが楽しかったりするものだから、不思議だ。

 

 おしまい